枕草子3
冬はつとめて。雪の降りたるは、いふべきにもあらず。霜などのいと白きも、またさらでも いと寒きに、火など急ぎおこして、炭(すみ)持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃(すびつ)・火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりぬるは わろし。
冬は早朝が美しい。雪が降っている様は言うまでもない。霜などがとても白い時も、またそうでない時もとても寒く、火などを急いでおこして、炭を持って渡るのは、とても冬らしい光景だ。昼になって、僅かに暖かく寒さがだんだんとやわらいでいけば、炭櫃や火桶の火が白く灰っぽくなってしまう。これは良くないことだ。
つきづきし→似つかわしい
「似つかわしい」という言葉って、あんまり馴染みがないですよね。